負けない心


 ここ2週間ほどかなりの忙しさで全くブログが更新できませんでした。通常の業務に加えて、既存ファンドのプロモーションと新ファンドの開発案件のマネジメントに時間を割かれたほか、ゼミの発表なども行ったので、ほとほと疲れ果てています。とはいえ、6月の運用成績も全ファンドでベンチマーク対比での超過収益を確保し、何とか勝ちを拾った形に持ち込めたのはラッキーでした。まあ、今後のビジネス展開というか、自分のやりたいことを社内的に推進して行くには、僕の運用が上手いことが大前提となるので、簡単には負ける訳にはいかないのですよ。


 ということで、本日の日経夕刊に「負けない心」という羽生善治さんのインタビューが掲載されていたので、備忘録的にメモ。


  • 「実は、年齢を重ねるほど、この恐れの気持ちが大きくなってきます。失敗の経験を何度も重ねているからかもしれない。経験には、いい結果と悪い結果があり、経験を積むことで選択の幅が広がることは事実ですが、迷ったり躊躇したりと、ネガティブな選択をしている時もあります。」
  • 「若いうちはリスクがわからないまま指して、それがいい結果に結びつくこともあるが、年々このリスクに対する恐怖心をどう克服するかが重要なテーマになってきます。ただ不思議なもので、年齢に比例して打たれ強さが増し、精神的に動じなくなるという側面もあります。」
  • 「局面をどう打開するか、あるいはどう流れをつくっていくかという場面で、テンションの高さ、すなわち気持ちの上で向かっていけるかどうかが重要な要素となります。根気とか粘り強さを持って思考を重ねることが、直感とかひらめきにつながるからです。」
  • 「長い棋士生活の中で何年、何十年も同じモチベーションを持ち続けることがとても重要だと思っています。将棋界にかかわった多くの人たちを見てきましたが、一つの場面ですごいひらめきを見せる人よりも、将棋に対する情熱を長期間継続して持っている人の方が成功している例が多い気がするし、それこそが才能だと思います。」

 やはり勝負の世界で活躍されている方の言葉や考え方は勉強になります。僕自身も20代の後半で大きなファンドを任された時は、(今から考えると)リスクが分からないままに運用していたのかもしれません。とりわけ、何らかのバブルの最中にいると、他人よりも少しでも大きなリスクを取ることが確実に良い運用成績につながるので、それが自分の才能だと勘違いしてしまいます。そうした場合、大概は悲劇的な結果に終わります。僕自身の場合もそうでした。一方、経験を積んだ現在では、決定的な敗北を喫しないようにリスクをコントロールすることができますし、羽生さんがおっしゃるように「打たれ強さ」が増して来た気がします。


 それから、やはり大事なのは「モチベーション」と「継続性」ということですね。10年以上同じアセットクラスでファンドマネージャーをしているので、よく上司に「そろそろ厭きてきただろう?」とか言われるのですが、僕自身は全くそんなことは無くて、時間と共に成長を続ける自分自身が楽しくて仕方ありません。あと数ヵ月で37歳ですが、今でも社内では一番勉強していると自信を持って言える位、仕事というか国内債券市場に情熱を持っています。自己満足的ですが、このインタビューを読んで改めて、自分の方向性が誤っていないことが確認できました。仕事の成果は出ているので、本当はそんなに心配することは無いのですが、時々は自己否定的な気分になってしまう性格なもので・・・


 最後に、今日は妻の38回目の誕生日でした。誕生日おめでとう。僕が気持ち良く仕事が出来るようにいつも支えてくれてありがとう。これからもヨロシクね。でも、新ファンドが立ち上がるまでは忙しい日々が続くので、もしかしたら夏休みが取れないかもしれません。あらかじめ謝っておきます。ゴメンね。