マネタイゼーション


 日銀が長期国債買入オペの増額を決定したのに続き、いよいよFRBが長期国債の買入開始に踏み込みました。これで英国を含めて、先進国では3カ国の足並みが揃ったこととなります。


 先週の段階では、日銀の長国買入増額は無いと予想しており、部内会議でも豪快に断言してしまったのですが、その週末の某経済新聞にリークっぽい観測報道があって週初から赤っ恥でした。(マヂでいい加減あーいうの止めましょうよ、日銀さん。)それでも、会合当日までは、日銀が現段階で増額する必要性が無いと思ってましたし、実際マーケットもそういう見方が強かったような気がします。ですので、日銀が増額を決めた時点で、何かウラがあるのかなぁと感じてました。で、その夜にFRBが長国買入の開始を決定したので得心しました。やはりG20かそれ以前から国債買入については国際協調することで握っていたようですね。


 財政赤字を埋めるために国債を発行し、それを中央銀行が購入してファイナンスをつけた場合、通常はインフレ圧力と通貨価値の下落が生じます。現在は過去数年に比べれば、デフレ圧力の強い状況ですので、インフレ圧力の高まりは経済運営にそれ程悪影響は与えません。しかしながら、主たる輸出産業を持たない英国や米国において、自国通貨安は資本流出などの悪影響のみを招く可能性がありますので、一国だけでマネタイゼーションを行うことは非常なリスクを伴います。そこで、主要国が強調してマネタイゼーションを行うことで、為替変動を抑えながら、膨大な財政赤字ファイナンスして訳です。うーん、妙案ですね。インフレ圧力は残りますが、インフレ自体も将来の名目税収増加に寄与して債務者(=国)に有利に働きますので、(国家にとっては)良いことばかりですな。


 そして、協調の枠外にいる国、例えばスイスなんかについては、激しい自国通貨高に晒されますので、自国通貨売りの為替介入で対応していきます。自国通貨売りは外貨準備高の制限を受けずにかなりフリーハンドでできますので、長期間にわたって多額の介入が可能ですね。


 これで、主要国の経済運営のパッケージがかなり見えてきた気がします。


・金融システムの安定と有効需要の創出は財政出動を最大限に活用する。
財政赤字中央銀行ファイナンスする。
・協調してマネタイゼーションを行うことで為替変動を抑制する。
財政出動の小さい国は為替介入し、他国通貨を買い支える。


といった所でしょうか。これで行ける所まで行くしかないですね。となれば、断然注目されるのが、ECBの対応ですね。今のところは国債買入については否定的です。そりゃぁ、どこの国債をどんだけ買い入れるかなんて、絶対に揉めますもんね。個人的には、クレジットスプレッドが絶賛拡大中のギリシャ・イタリア・スペイン辺りの国債をさっさと買ってやれよとも思うのですがね。まぁ、このグダグダぶり自体が自国通貨安要因なので、それで良いという見方も出来ますね。いずれにせよ、4月2日のECB理事会が楽しみです。


 話は変わりますが、高速道路料金1000円化や助成金でETCが盛り上がってるらしいですな。先週末は愛車の12ヵ月点検で久々にディーラーに行きました。相変わらずガラガラなのですが、担当セールスに聞くと、ETCの取り付けだけは大盛況だったとのこと。「だった」と過去形なのは、ディーラーのETC在庫が既に払底してしまい、次回の入荷も未定で開店休業状態だからです。今日あたりのニュースを見ても、先行して値下げされた東京湾アクアラインがいい感じで混んでたりしていて、評判の悪かった経済対策も局所的には上手くワークしていますね。次は定額給付金に期待したい所です。それにしても、麻生政権をフルボッコしてたマスコミですが、小沢さんが検察にガツンとやられてから、掌を返したように報道を始めましたね。何かのパワーバランスが変わったようです。


 来週前半は休暇をとって春休みの家族旅行ですが、生憎の天気のようでちょっと残念です。