若手の学力低下


 3月6日の日経朝刊社会面の「知が危ない−若手の基礎学力低下」には、大いに共感する所がありました。まぁ、どこの会社も同じですなぁ。私の職場も、東京一工早慶の各大学出身者が9割近くを占め、半数以上が修士号を持っているような環境ですが、「学力」もさることながら「知性」とか「知的好奇心」そのものの劣化が進みつつあるように感じています。


 「学力」については、会社全体の採用ポリシーが関係しているのかもしれませんが、公立高校出身者が非常に多い一方、付属校上がりで大学に入学した人が皆無となっており、一応は入試の洗礼を受ける形となっていますので、小中学レベルの算数が解けないってことはないようです。それでも、我々の業界では運転免許代わりの証券アナリスト試験(2次試験まであります・・・)にストレートで受かる人数は減る一方です。私が受験した約10年前は、同期の8割以上がストレートに合格していましたが、今ではストレートに合格する方がレアであるようになってしまいました。問題が若干難化している影響もありますが、試験がメジャー化したことで参考書や問題集が充実し、学習システムが確立されたメリットの方が大きいはずですので、本来は合格率が上がっても良いはずなんですけどね・・・


 それから、留学する若手の減少も顕著ですね。会社の制度として、米国Top20以上のMBAやMSに合格すれば、社費で留学できるのですが、数年前に私の1〜2年上の先輩が立て続けに留学した後は途絶えた状態になっています。これについては、就職「氷河期」世代と「超氷河期」世代の価値観の差が強く影響しているのかもしれませんが・・・


 上記のようなことも問題ではありますが、より深刻なのは根源的な「知的好奇心」の欠如です。全ての人に当てはまるとは言いませんが、「物事を知らないことを恐れない」若手は増えているように思います。ファンドマネージャーは責任を持って顧客の資産を預かり、市場経済の中で運用している訳ですから、その経済に与える諸要素、政治・国際情勢・軍事・技術革新などには、広く注意を払う必要があります。
そのためには、
・日経+一般紙と、海外紙(FTやWALL STREET JOURNALあたり)
経済誌を月に2〜3誌(日経ビジネスとかダイヤモンドよりは、選択などの月刊誌の方が面白いかなぁ)
・気になったトピックは専門書で知識を補強
程度はこなして欲しいのですが、日経すらちゃんと読めているか怪しい若手が多数・・・orz


 で、昼飯の時に上記のような話を若手にしたら、嫌そーな顔されました・・・ まあ、何年か経過して君達が運用の責任を双肩に負うようになったら、嫌でも分かるようになるのですけどね。


 何やら説教めいて参りましたが、今日の日経夕刊「あすへの話題」では、有馬先生が「データを見て論ぜよ」と
お書きになっておられましたので、「主観的」な愚痴はこの辺りで止めときますか・・・