田母神論文


今週は4営業日でしたが、目の回る忙しさで3連休の充電もすっかり放電しました。市場は相変わらずボラタイルな動き、米国ではオバマ大統領の誕生とGMがいよいよピンチとか、いろいろニュースがありました。翻ってわが国では、田母神論文が話題になっております。


http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf


とりあえず一読してみたのですが、論文というよりは、(私も愛読している)月刊『WILL』のダイジェスト版かと思いました。内容については、歴史の一側面としてそういった事実があるかもしれないということですが、(保守派でない)一般ピープルが読んだら、普通にトンデモな内容ですよね。月刊『WILL』などは結構販売部数を伸ばしつつあるので、「自虐史観からの脱却」的な言論も許容される風土が醸成されてきたのかと思っていたのですが、まだまだ時期尚早のようです。


私自身の政治的スタンスは中道右派よりもさらに右寄りだと思っておりますが、どちらかといえば保守的な思考をする私の母親でさえ、普通に朝日新聞を読んでたりするので、日本国民の政治的スタンスの重心はかなり左寄りにありそうですね。


で、「日本は侵略国家であったのか」ということですが、やはり侵略国家でしょう。国際法上は合法的であっても、他国を実質的に植民地化するのは侵略行為に近いと考えます。植民地経営が他国よりも上手かったというのも言い訳にはならないでしょう。ただ、日本だけが極悪非道の侵略国家であるかのような謗りを受けるのは、やはり違和感を感じます。古くはスペインやポルトガル中南米進出、イギリスやフランスもアフリカやアジアを豪快に植民地化しました。また、アメリカも建国の際に原住民を殺戮していますし、中国は第二次大戦後にチベットウイグル内モンゴルなどで無茶をしていますよね。少なくとも、20世紀前半の経済スキームは植民地の存在をある程度前提としたものであったと思いますし、先進国は皆でそれに乗っかってヨロシクやっていた訳です。そのうち、先発した国家と後発した国家の摩擦が激しくなって、戦争をしたらやっぱり先発の国家が勝ちましたというだけの話でしょう。戦争で負けた国家には何を言ってもOKなのかもしれませんが、侵略行為については「お前ら、人のこと言えた義理か?」と思いますね。


あと、政府の対応は非常に迅速でしたが、思想的な内容で統制を掛け過ぎるのはいかがなものかと思います。自衛隊のトップがタカ派な発言で更迭されるのだったら、日教組左巻きな政治的活動とかOKなんですかね?左には寛容で右には厳格という、この国独自の絶妙なバランスなのかもしれませんが・・・


まあ、中山前国土交通大臣しかり、今回の田母神論文しかり、保守的な言説が世間の注目を集めるのはそれなりに意味のあることだとは思いますが、くれぐれも自爆テロとならないように注意頂きたい所です。